コードバンの財布が欲しいけどパッと見は同じようでも、値段は約1万円〜約10万円と大きな価格差があります。
どうしてこんなに値段の差があるのかその違いを知りたい、購入時の参考にしたいと思ったことはありませんか。
- なぜこんなに値段の違いがあるのか?
- 実際に比較検討してしてみたい
- 具体的に詳細な写真や動画で比較した情報を知りたい
この問題を解決するために、
- 5万円と2万円のコードバン財布を購入し徹底比較
- 革のグレード、染色方法、仕上げなど9項目を徹底検証
- メーカーに質問、取材して疑問点を徹底検証
を行いました。
僕自身も同じ新喜皮革が鞣したのに大きな価格差が生じることを疑問に思い、この記事を書きました。
この記事を読むと高額コードバンとリーズナブルなコードバンの価格差が生じる理由がわかり、
購入時の参考にすることができます。
持つ人の人生を豊かにするコードバン財布。
この記事を読むことで、あなたに合ったコードバン財布が購入でき、コードバンの魅力を体感できるでしょう。
GANZOの二つ折り財布を見てみる
注】
①当記事はできるだけ客観的に比較・評価をするよう努めていますが、筆者の主観なども入り込んでいる部分もございますので、あらかじめご了承ください。
②リーズナブルなコードバン財布とは税込で約2万円前後まで、高額コードバン財布とは税込で約3万5千円以上と設定しています。
【結論】価格で品質・サービスの差は大きいが、大切なことはコードバン財布に何を求めるか
結論からいうと、
品質・サービスの差はかなりある。
しかし、購入する人がコードバン財布に何を求めているかが最も重要
今回、この検証をするために実際に2つのコードバン財布(約5万円と約2万円)を購入し、徹底的に比較検討しました。
共通点はどちらも新喜皮革が鞣した(なめした)コードバン二つ折り財布ということだけです。
※一般的に財布の価格で2万円はリーズナブルではありませんが、コードバン財布としてはリーズナブルな価格に含まれると考えます
はじめにお伝えしますが、
価格が2倍以上違いますので、差があって当然であり、
本来はこれだけ価格差があるので比較すること自体に無理があり、フェアではありません。
しかし、人によってそれぞれコードバン財布に求めるものが違いますし、
この記事を読んでくださるコードバンに興味がある読者様(とくに初めてコードバンを購入する人)に本当にその人が必要としているコードバンを手にして欲しいのであえて比較検討しました。
コードバン財布に何を最も求めるかで購入する価格が変わってきます
コードバン財布の値段とクオリティの違いを9つの視点で検証
高額、リーズナブル、今回2つのコードバン財布を9つの視点で検証した結果を5段階の⭐️で評価したものを表にしました。なお、高額コードバンとしてGANZO製を、リーズナブルなコードバンとしてプレリ−1957を例として検証しました。
高額コードバン(GANZO製) | リーズナブルなコードバン(プレリ−1957製) | |
ブランド力 | ||
原皮のグレード | ||
染色方法 | ||
コバ処理 | ||
縫製 | ||
刻印 | ||
デザイン | ||
感触(新品) | ||
アフターサービス |
それでは、これらの結論に至った理由を検証ポイントごとに視(み)ていきます。
- ブランド力
- コードバンのグレード
- 染色方法
- コバ処理
- 縫製
- 刻印
- デザイン
- 感触
- アフターサービス
1.【ブランド力】歴史と伝統、技術に裏付けされた信頼のブランド
コードバン財布の価格には、ブランドの価値が反映されています。
高級ブランドのコードバン財布にはそのブランドが長年にわたり培ってきた技術や信頼性やデザイン性、実績が反映されています。
そのため、同じくらいの品質でもブランドによって価格に差が生じますので、有名ブランドほど高価格になります。
例えばハイブランドのルイ・ビトンのバッグやお財布は数万円以上するにも関わらず、素材は合成皮革です。
商品価格に大きく影響してしまうのがブランド力なのです。
その点、日本の革小物ブランドは、品質では圧倒しながらも、
失礼ながら、欧米に比べてブランド力はありません
有名ブランドではない比較的安価なコードバン財布では、ブランド力の影響は少ないので価格が下がりやすくなります。
GANZOの親会社の株式会社AJIOKA.は1917年の創業ですが、GANZOは株式会社AJIOKA.が1999年に立ち上げた日本製にこだわった高級ブランド。
革小物が好きな人でGANZOを知らない人はいないほどの知名度を持ちます。
ですので、このブランド力が価格として製品に含まれることは容易に推測できます。
しかし、GANZO製品の価格から見て、僕は欧米のハイブランドに比べて、良心的な範囲でのブランド代と考えます。
僕の考えでは、ブランド代は有名ブランドの特権ではありますが、いわゆるハイブランドの場合は価格と品質のバランスは一般の感覚とは違うように思います。
だから、ハイブランドと呼ばれるんですが
2.【コードバンのグレード】等級が品質、価格に影響
コードバンのグレード(等級)に差があると価格に反映する可能性があります。
一般的に考えて食品(牛肉や農産物、魚)に代表されるように、あらゆる天然素材にはすべてグレードが存在しますので、価格の高いコードバンほどグレードの高いコードバンが使用されているのは間違いないでしょう。
僕がでレーデルオガワのHIDEKIさんに伺った範囲では、染色会社レーデルオガワに新喜皮革から送られてくる時点で原皮にグレードはありません。
(大きさによる分別はありますし、中心にザラの少ない革は特別用としてありますが、滅多に入荷しないとのことでした)
しかし、製造メーカーのGANZOに確認したところ、等級はあるとのことでしたので、コードバン染色専門会社や革小物製造メーカーなど、業界間でいろいろな事情があると推測します。
一方、新喜皮革と世界のコードバン鞣しを二分する会社のひとつであるアメリカのホーウィン社は、
レザークラフト材料のネットショップフェニックスのサイトによると原皮は等級分けされた状態で送られてくるとのこと。
そこで、アメリカのサイトを調べたところ、
引用元はこちら
が見つかりました。
ChatGPTで日本語に翻訳すると
『「測定、分類、および格付け これで生産プロセスのほぼ終わりです。次のステップは、パッケージング前の最後のステップであり、それは分類および格付けです。
コードバンは慎重に検査、測定、分類、および格付けされます。
特定の製品の適切なサイズと形状を決定するために測定が行われます。
低品質のコードバンは割引されるか廃棄される一方、最高品質の製品はHorweenの特別な顧客に送られます。これには、米国のAlden、スペインのCarmina、およびカナダのVibergが含まれます。』
残念ながら日本に関する記載はありませんでしたので、
ホーウィン社に直接メールで問い合わせたところ、
広報担当のJohn Cullitonさんから
「Japan is am important market for our leathers and I am glad that people understand that our Shell Cordovan is unique.」(原文)
翻訳
「日本は私たちの革製品にとって重要な市場であり、シェルコードバンが特別な存在であることを日本の皆様が理解してくれていることを嬉しく思っています。」
との回答をいただきました。
このようにホーウィン社のオイルコードバンはすでに染色された状態で輸入されてきますので、
下の写真のように完全に等級分けされていて、価格もかなり違います。
上記の資料を引用させていただいたフェニックスのサイトはここです。
コードバンだけでなく、いろんなレザークラフト材料を販売している会社です。
レザークラフト材料の通販フェニックス
フェニックスの実店舗でシェルコードバンの原皮を購入!
大阪市内浪速区にあるフェニックスの実店舗に伺い、シェルコードバンの原皮を購入しました。
購入理由は
ただ単にホーウィンスタンプが欲しかったのと、今後このブログ内でインテリアとして使うためです。
輸入された時点で染色加工されたホーウィン社のシェルコードバンは等級分けされていますので、
日本の製造メーカーがどの等級を使用するかで価格や品質差が発生する要因となります
一般向けレザークラフト材料として等級分けがあるので、業務用でも必ず等級分けがあるのは当然です
今回僕が購入したホーウィン社のシェルコードバンはランクでいうと1級に当たります。
表面のツヤも素晴らしく傷はほぼありませんでしたが、明らかにGANZOのシェルコードバンよりも品質が劣っていたので、
GANZO大阪店にその旨をお伝えし確認したところ、
「シェルコードバンの中でも、さらにGANZOの目線で厳選したものを扱っています。」との回答をいただきました。
今回僕が購入した1級より上の特1級というグレードがあるのですが、GANZOは特1級と同等かそれ以上のシェルコードバンを材料に使用していると推測されます。
3.【染色方法】経年変化が大きく変わる
染色方法で経年変化や価格が変わってきます。GANZOとプレリ−1957の染色方法は以下の通りです。
GANZO:レーデルオガワのアニリン染め
プレリー1957:顔料染め
染色方法はGANZO、プレリーに直接確認しました。
人の好みにもよりますが、
経年変化を楽しみたい場合はコードバンが持つ本来のツヤや質感を楽しめるアニリン染めが最も優れています。
さらに染色方法は価格の差がでる要因の1つで、
価格的には
オイルコードバン>≒アニリン染め>>>顔料染めくらいの価格差という感じです。
アニリン染め、オイルコードバンとは
プレリー1957は顔料で染色している(小学生のランドセルと同じ技法)ので経年変化はほぼありません。
その代わりに、
水や汚れに強く、ホーウィン社のオイルコードバンやGANZOのアニリン染めよりもはるかに耐久性があり、傷にも強い特性があります。
ランドセルなどに採用されている塗料で染める染色方法で(塗料染めともいう)、表面にウレタンなどの強い層を作ることで雨や摩擦にも強い反面、エイジングというコードバン本来の魅力は期待できません
日本に流通するコードバンにはおよそ3つの染色方法があり、
経年変化の早い順番に並べると
オイルコードバン>>アニリン染め>>>>>>>顔料染め(ほぼ経年変化しない)となります。
10年以上アニリン染めコードバンを使ってきた僕にとって、オイルコードバンの色の変化の速さは驚きでした
リーズナブルなコードバンは顔料染めが多い
リーズナブルなコードバンは原皮価格としてグレードの高くないコードバンを使用する場合があると推測しますので、傷、シワ、トラなどが存在します。
それをカバーするためには顔料染めが最も適した染色方法で、
現実的に考えて、傷、シワ、トラがあってもコードバンであることには変わりないので、
強靭さは牛革の3倍以上あるわけです。
顔料染めコードバン小銭入れを持っていますが、2年目ながらキズや水によるブクが少なく、扱いやすさではダントツです
ですから傷、シワ、トラという短所?(僕は長所でもあると考えていますが、日本のお客様は新品の状態では完璧なものを望む傾向が強い)を顔料染めという方法を用いれば、リーズナブルで、美しく長く使えるコードバンができるというわけです。
顔料染めはランドセルに使用される染色方法で、汚れを簡単に拭き取ることができ、水がキズに強く、定期的なケアが最小限で済むためメンテナンスが容易です。
コードバンの染色方法はそれぞれの目的や用途に応じた方法が選択されていますので、適材適所で染色方法を使い分ければ良いのです。
経年変化よりも気楽に扱いたい方には顔料染めコードバンが向いています
4.【コバ処理】品質と技術がわかるコバ
コバ処理を比較検討してみます。コバとは革製品の裁断面(切った断面)のことで、その部分を見るとその製品のレベルが推測できます。
GANZOのコードバンシリーズはコバ処理の切目製法(きりめせいほう)のうち、最も手間暇がかかり、
技術が必要な切り目本磨きになります。
布糊をつけ、綿布でコバに「磨き」をかけるので、コバにツヤが生まれ、見た目、耐久性、手触りが格段に向上します。
GANZOは染色もボルドーカラー(赤ワイン色)の専用染料を2度塗りするなど、非常に繊細な作業を繰り返します。
合わせてコバの厚みとツヤも他のメーカーとの違いを感じます。
GANZOのコバは高品質な日本のブランドの中でもNo.1の仕上がりです
GANZOに直接問い合わせたところ、
・シリーズによってコバの仕上げは異なる
・GANZOでは切り目本磨きという定義がはっきりとはないが、本裁ち(ほんだち)後に磨きをかけて顔料仕上げをしているので、オンラインストアでも「切り目本磨き」としている
※本裁ち(ほんだち)とは革の作業工程の一つで、大体の大きさに切り抜く『粗裁ち』(あらだち)と、その次に正確に切り抜く『本裁ち』があります
GANZO内での定義はないものの、僕が調べた範囲ではGANZOのコバは切り目製法のうちの「切り目本磨き」に相当します。
一方プレリ−1957のコードバンは
・切目製法(どの製法かは不明)+ヘリ返し(2枚の革を合わせた加工法。一方の端を少し長めに残し、もう一方へ折り返す方法で大量生産向きだが、耐久性に欠けることがある)
・できる限りリーズナブルな価格で提供するためのコストを下げる努力を感じる
プレリ−1957のコバ処理については、比較的手間と時間がかからないこの製法を採用することでコストダウンを行っていると推測します。
5.【縫製】最も差がついた縫製
縫製は最も大きく違いを感じた部分です(今回比較する二つ折り財布はどちらも日本の職人が縫製した日本製であることは確認済みです)
GANZOは一直線に正確に縫製されていますが、
プレリ−1957は少し曲がっています。
縫い目の穴の大きさに注目してください。縫製するときに穴の大きさが小さいほど、高い技術が必要となります。
縫い目の数と糸にも違いがありました。
それぞれ5cm当たりの縫い目の数を数えてみたところ、
- 5cm当たりGANZOは19個、プレリ−1957は18個
- GANZOの縫い目の穴の方が小さくて細い糸を使用
の違いがありました。
ミシン目の数は縫製の丁寧さの判断材料になります。
GANZOにはステッチを入れる場所やピッチ(縫い目の穴の長さ)に厳格な社内規定があるので、
より丁寧で緻密な縫製になるのです。
GANZO製の2つの二つ折り財布の縫い目を比較してみた
左がホーウィン社のシェルコードバン、右が新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染めです。どちらも二つ折り財布ですが、この精密さをご覧ください。
6.【刻印】ロゴはメーカーの顔
革製品にはメーカーのロゴやブランド名、製造年月日などを刻印しますが、
刻印もGANZOの刻印には高級感と華やかさを感じ、かなり差があるように感じました。
7.【デザイン】手間のかかる内側のデザイン
手間のかかるデザインを採用するかどうかで製造原価が変わってきます。
特に内側のデザインや作りにそれぞれの特徴があります。
一見同じような内側のデザインですが、よく観察するとGANZOは手間暇のかかるデザインを採用しています。例えば
お札を入れる部分の拡大写真をご覧ください。
GANZOはすべて牛革製で仕切りがありますが、プレリ−1957は仕切りはなく、途中から布製にしてコストダウンをおこなっています。
次にカードを入れる部分ですが、
下の写真の通りプレリ−1957は真っ直ぐのままで省力化していますが、
GANZOはゆるいカーブをつけて機能的にもデザインとしても手間のかかる作りを採用しています。
GANZOは価格に見合ったデザイン・品質を提供する努力を、
プレリ−1957は、1万円代(税抜価格19,800円)でコードバンの財布を提供するために創意工夫でコストカットしている努力を感じます。
プレリ−製コードバン財布の価格、約2万円はコードバン財布としてはリーズナブルな価格ですが、お財布としては高価格なのでプレリーの企業努力を感じます
8.【感触】手触りはプレリ−1957のツルツル感がいい
手触りはプレリ−1957の顔料染めコードバンの方が心地よいと感じました。
GANZO製はアニリン染めですのでツルツル感はあまりありません(はじめのうちは、少しですがザラザラ感があります)初めからツルツル感があって欲しい人にとってはプレリー製の方が良いでしょう。
プレリー製のツルツルした手触りは心地良くていいですね
8年で熟成されたスベスベ感
一方、GANZOのアニリン染めはレーデルオガワで染色されていますので、
徐々に経年変化していき、いずれザラザラ感は消えて、最終的にはオイルコードバンに似た光沢になりスベスベになります。
8年使って到達したこのスベスベ感。使い込まないと生まれない独特の感触です
コードバンならではの型崩れのないスベスベで独特のツヤがあり、僕の使用状況に合った形になった世界に一つのコードバン財布です。
9.【アフターサービス】安心感につながる大切なサービス
高価なコードバン財布は、各メーカーが購入後のメンテナンスやアフターサービスが充実している場合多く、
今回ご紹介したGANZOの直営店では
- 直営店では、GANZO製品の状態(乾燥の具合、シミ、キズ)をスタッフが確認し、無料でお手入れのサービスが受けられ、このお手入れサービスは永久実施
- 直営店で購入すると3文字名入れの刻印サービスがある
- メール、電話の他にLINEで疑問や悩みに対応
GANZO直営店には職人さんが常駐しているので、無料サービスのお手入れや名前入れをその場でできるのです。
本物の職人さんが常駐しているというのは、GANZOの強みでありセールスポイントです。
僕は実際にGANZO大阪店のLINEに登録しているので、今まで多くの質問をさせていただいているのですが、
技術的なレベルの高い質問にも非常に丁寧な回答をしてくれます。
特に店長さんの知識と経験は素晴らしく、多くの革小物の良い部分とそうでない部分を丁寧に教えてくれます
ただし、GANZO直営店は東京3店舗、大阪1店舗と日本全国に4店舗しかなく、メンテナンスサービスを受けにくいということがあるので、⭐️3.5にしました。
GANZOのコードバンはこちらから【高額コードバン財布】長所・短所とおすすめする人、しない人
高額なコードバンとリーズナブルなコードバンそれぞれ購入し、細部まで検証して感じた長所、短所とおすすめする人、しない人をお伝えします。
高額コードバン財布の長所・短所
高額コードバン財布の長所・短所を以下にお伝えします。
- 経年変化を楽しめる
- 手触りやツヤ、質感を楽しめる
- 高額だが高品質なので所有感、満足感が味わえる
- 価格が高い
- 高額コードバン財布はアニリン染めやオイルコードバンなので水やキズに弱く、扱いには注意が必要
- ある程度のお手入れは必要
後ほど詳しく説明しますが、
高額コードバン財布はほとんどアニリン染めかオイルコードバンで、リーズナブルなコードバン財布は塗料染めの場合が多いです。
染色方法だけが価格差の原因ではありませんが、この違いが価格に影響を与えていることは事実です。
コードバンに興味がある人は、ぜひアニリン染めやオイルコードバンの魅力を味わってほしいのです
高額コードバン財布をおすすめする人
高額コードバンをおすすめする人、しない人をお伝えします。
- 経年変化を楽しみたい人
- 一つの財布を長く使い続けたい人
- 財布自体の手触りや質感を楽しみたい人
- 自分の気持ちやステータスをあげたい人
- コードバン財布の扱い方や手入れができる人
経年変化を楽しみたい人
コードバンの一番の魅力は経年変化です。
この記事で扱っている高額コードバンの二つ折り財布は、GANZOという革製品の日本のトップメーカーで、抜群の品質を誇ります。
GANZOについて詳しくはこちら
合わせて、このコードバン財布はコードバンを鞣す技術を持つ世界にほぼ2社しかない会社の一つである、
日本の新喜皮革が鞣し、
日本国内でもトップクラスの技術を持つコードバン専門の染色会社レーデルオガワというが染めたものです。
染色方法はアニリン染めといい、コードバン本来が持つツヤを生かし、最も美しく経年変化が楽しめる染色法です。(コードバン染色専門会社LEDER OGAWAの創業者小川三郎さんが1970年代に開発した染色方法)
レーデルオガワについて詳しくはこちら
・素晴らしい色合いに変化する革財布が欲しい
・持つことに満足感を得られる財布が欲しい
・穏やかに経年変化していくコードバン財布と人生を一緒に歩きたい
と思っている人にはピッタリなのがアニリン染めやオイルコードバンです。
写真の上の二つ折り財布はGANZOのコードバンのシリーズの中の『コードバン』という最もベーシックなもので、下の長財布は2015年に購入したものです。
GANZOのコードバンのシリーズとは?
どちらもGANZO製で新喜皮革が鞣し、レーデルオガワのアニリン染めです。色はダークブラウン。
二つ折りと長財布と形態の違いはありますが、新品と8年経過したものとの違いをご覧ください。
元の色は写真上の二つ折り財布ですが、8年でさらに濃く、味わいのある色に変化しました。
手触りは新品は少しザラつきを感じますが、8年ものはスベスベで心地よい感触です。
正直なところ、ここまで手触りが変わるとは思っていませんでした
楽しみながら変化していく色味や手触りを楽しむことができるのもアニリン染めやオイルコードバンが多い高額コードバン財布の良さです。
一つの財布を長く使い続けたい人
コードバンは長所の一つである強靭さのおかげで、牛革に比べて3倍の強度があると言われています。
元来の馬革のコラーゲン繊維は、
牛革より一本一本が細い繊維で構成されていて、より緻密な構造になっています。
その馬革の中でも最も希少で、美しいツヤが出て、味のある経年変化をとげるコードバンは、
表面が水やキズに弱いものの、型崩れしない強靭な革なのです。
下:牛革
(「コードバン大学「シン・コードバンのすべてが解る動画 Part2」)から引用)
ですので、コードバンの財布は長く使っても牛革と比較して形が崩れにくいというメリットがあります
(注 使用状況によって型崩れの度合いに違いは出ます)
コードバンは使い方次第で10年以上使える丈夫な革なのです。
※写真の牛革が10年使用。二つ折りなので主にカバンに入れてましたが、お尻のポケットに入れることも多く、
コードバン長財布が9年使用でカバンや胸ポケットに入れることが多かったので、
使用条件が違う上、二つ折りと長財布のため、あくまで参考程度にしてください。
GANZOの縫製技術の高さもありますが、コードバンは型崩れしにくい素材です。
牛革ならさらに型崩れします。
【GANZOコードバン長財布】の購入はこちら
コードバン本来の手触りやツヤ、質感を楽しみたい人
経年変化を遂げたコードバンの手触りやツヤ、質感は本当に心地よいものです。
ただ単に触っているだけでその感触を楽しめるレベルの手触りになります。
これは高度な技術で鞣され、染色されたコードバン財布のみが実現できることなのです。
※これも持ち主の使い方や保存方法によって熟成の仕方は大きく変わります。
ホーウィン社のシェルコードバンの手触りが素晴らしい
上の写真の名刺入れはアメリカのホーウィン社が鞣したシェルコードバン(オイルコードバン)の名刺入れです(色は染色がまったくないナチュラルという色)
僕は仕事では名刺を配ることはないのですが、手に持つにはちょうど良い大きさ、このツヤや色の美しさ、手触りが気に入って購入しました。
手に持つだけで、その感触が気分の高揚を誘います。
GANZO ホーウィン社シェルコードバン 名刺入れ
自分の気持ちやステータスをあげたい人
コードバン財布を持つことにより自分の気持ちを上げ、心理的なステータスを上げることができます。
美しいツヤがあり、型崩れせずに味わいのある財布に熟成するのがコードバンです。
それを所有することで持ったものしか感じることができない独特の所有感を持つことができます。
この記事を読んでくださった方でコードバン財布に興味のある方は、
この所有感をぜひとも味わっていただきたいのです。
コードバン財布特有の扱い方や手入れができる人
コードバンは水に弱く、濡れたままで放置するとブクという水脹れのような状態になります。
さらに牛革よりもキズがつきやすいので、ある程度の気遣いが必要になります。
コードバンの扱い方の詳しい解説はこちら
僕の自慢のコードバン財布ですが、小さいブクがあります。
写真の印をつけた部分です。
コードバンの繊維層が水を吸って起き上がっている状態ですが、
この程度なら目立たないし、これも個性と捉えています。
この長財布は特にこまめに手入れはしていません。ほぼ毎日触れるように心がけているくらいです。
ただし、水には細心の注意をしていますし、濡れたらすぐに拭き取ることだけは徹底しています。
次にシェルコードバン(オイルコードバンに分類されます)ですが、
下の写真をご覧ください。
シェルコードバンに水滴をつけて実験してみました。
時間はたった30秒ですが、薄いブクができてしまいました。
シェルコードバンはオイルコードバンなのでアニリン染めのコードバンよりもブクができやすい性質がありますので、特に注意が必要です。
オイルコードバンのブクの修復方法をGANZOに質問したところ、時間はかかりますが(使用状況による。経験上1ヶ月以上)日常使用で、ある程度までは目立ちにくくなるとのことでした。
安易にクリームやワックスは塗ると、オイルコードバン独特の美しいツヤがなくなり曇ってしまい、元に戻らなくなりますので、くれぐれもご注意ください。
アニリン染めの場合のブクの修復方法は
- ブク周辺をしっかり拭き取る
- 風通しの良い場所でゆっくり乾燥させる
- コードバン・ケア・ワックスを少量塗り、5分後に布で拭き取る
- これを何度か繰り返す
アニリン染めの場合は上記のケアを施し、日常使用するとブクは目立たなくなります。
コードバンはアニリン染めとオイルコードバンとでは、ブク修復の対応が異なりますのでご注意ください
水がついたら、できる限り早く拭き取ることが最も重要です
アニリン染めもオイルコードバンも
ブクが目立たなくなるには数ヶ月かかるので、水を含んで立った繊維を気長に指で寝かしつけてください
アニリン染めコードバンのお手入れは、馬毛ブラシで軽くブラッシングした後、
コードバン専用のワックスを塗り、5分くらいおいてから布で拭くだけで十分です。
同じamazonや楽天でもサイト内で価格が異なりますし、送料も違います。
2023年7月26日現在で調べたところ、下のAmazonかYahoo!からの購入が価格2,750円、送料250円と最安値と確認しました(下のECサイトで購入される場合は2,750円、送料250円であるか確認をお願いします)
高額コードバン財布をおすすめしない人
高額コードバン財布をおすすめしない人を以下にお伝えします。
- コードバンであればそれで良い人
- 財布に高いお金を使いたくない人
- 財布の扱いに気を使いたくない人
コードバン財布であればそれで良い人
型崩れしない素材で長持するコードバン自体に興味があるけど特にこだわりはないという方には、
高額のコードバン財布はおすすめしません。
財布の素材としての強靭さを求めるだけであるのならば、高額コードバン(アニリン染め、オイルコードバン)が水に弱くキズがつきやすいことは弱点であり、面倒なだけです。
多くのリーズナブルなコードバンが採用している塗料染め(顔料染めとも言います)が適しています。
塗料染めコードバンはランドセルと同じですので経年変化はないものの,型崩れせず水、キズにも強く、手触りもツルツルで心地よいものです
財布に高いお金を使いたくない人
財布に2万円〜10万円も使いたくない方には、コードバン財布は向いてません。
コードバン自体が希少性が高く、加工に時間と手間がかかる(鞣しにかかる時間は牛革は約1ヶ月、コードバンは約10ヶ月)ため、
それだけで価格が高くなってしまいます。
財布にお金をかけたくない方は別の素材のものが良いでしょう。
価値観は人それぞれ。これが正解というものはありません
財布の扱いに気を使いたくない人
コードバン財布はある程度の注意と手間が必要です。
特に水。
雨や、手を洗った直後の水滴は絶対に避けなければなりません。
そして、ツヤや質感を維持するためには時々乾拭きや専用ワックスで手入れも必要になります(僕は数ヶ月に1回ほどのペースです)
財布に気遣いするのが面倒な方は他の素材の財布をおすすめします。
ただし、コードバン財布の中でも塗料染めは最も扱いやケアに気を遣う必要がないので、
今回ご紹介したプレリ−1957のコードバン財布はおすすめです。
プレリー公式サイトはこちら
ECサイトでも購入できますが、公式サイトからだと10%のポイント還元があります。
ECサイトで見てみる人で
小銭入れありはこちら。
小銭入れなしはこちらです。
【リーズナブルなコードバン財布】の長所・短所とおすすめする人、しない人
リーズナブルなコードバン財布の長所・短所をお伝えする前に、
ECサイト(Amazon、楽天市場、Yahoo!ショッピングなどの販売サイトのこと)で数千円と格安コードバン財布を調べたところ、
「コードバン」という言葉を使って牛革を加工してコードバンのように解釈する可能性のある、わかりずらい表記の商品もありました(ただし、このショップはすぐ横に牛革と記載してありましたのでそういう商品という捉え方もあります。)ので、
購入時はその商品の表記をしっかりと読んで、納得の上で購入する必要があります。
- 縫製、染色が外国製の可能性がある
- 一般の馬革とコードバンを混同して表記しているショップがある
- 紛らわしい表現で記載している場合がある
上記のように、
数千円の格安コードバン財布は、購入時に表記をしっかり確認しないと他の革をコードバンと思って購入してしまう可能性がありますので、くれぐれもご注意ください。
ではここからは
リーズナブルなコードバン財布の長所・短所をお伝えします。
- リーズナブルなコードバンでも2万円前後のものは日本製の可能性が高い
- 財布の価格としては十分に高級品なので、機能性は問題がない
- 塗料染めの場合、アニリン染めやオイルコードバンに比べて水やキズ、日焼けに強い
- ツルツルの手触りで、心地よい
- リーズナブルと言ってもコードバンなので、牛革よりもはるかに強靭で耐久性がある
- 染色方法、縫製、コバの処理(革の端や角の部分)、デザイン、財布の内側の作りなどでコストダウンをしてるので比較すると差がわかる
- 経年変化が楽しめない
- 価格が数千円の場合、染色、縫製が外国の場合があり、コードバンでない可能性がある
- 所有感やステータスを感じにくい
リーズナブルなコードバン財布をおすすめする人
以下にリーズナブルなコードバン財布をおすすめする人をお伝えします。
コードバン財布であればそれでいい人
リーズナブルなコードバン財布の場合、アニリン染めなど経年変化を期待できる染色方法はコストの都合で採用されない場合はほとんどです。
コードバンに興味があり、コードバンであればそれで良いという考えの人には良いでしょう。
財布に高額を使いたくない人
コードバン財布の場合、リーズナブルと言っても今回対象とするコードバン財布は約2万円します。
お財布としては高額になるので、お財布自体に、そこまでの価値観を感じない人には向いてないでしょう。
リーズナブルといっても2万円のお財布はかなり高価なお財布だと思います
水や手入れなどに気を使いたくない人(塗料染めのコードバンに限る)
高額コードバン財布の染色方法はアニリン染めかオイルコードバンになります。
アニリン染めやオイルコードバンはキズにも弱いので、アスファルトに落とすとすぐにキズがついてしましますし、
カバンからの出し入れするときにファスナーにこすれるだけでもキズになることがあります。
特に染色されていないナチュラルと呼ばれる色のコードバンは水とキズに弱いです
繰り返しになりますが、この二つの染色方法は顔料染めに比べてはるかに水に弱く、
濡れてそのまま放置するとすぐにブクという水ぶくれのような状態になるので、すぐに拭き取るなどの注意が必要です。
それに比べてリーズナブルなコードバンに多い塗料染めは水に強く、少し濡れたくらいではブクはできません。
小学生のランドセルの塗装に使われるほどの耐久性、耐水性があるのでほとんど気を使う必要はありません。
ただし、財布そのものを池や川、水たまりなどの水に一定時間落としてしまった場合は別で、その場合は表面以外の横から水が侵入して財布全体が膨れ上がることが起こりますので、水に落としてしまうことには注意が必要です。
実用上は顔料染めコードバンの方がかなり使いやすいと思います
このようにアニリン染めやオイルコードバンはお財布を守るために多少の気遣いやお手入れが必要になりますので、
それらが面倒という方は、
リーズナブルなコードバン財布の多くで採用されている塗料染めをおすすめします。
塗料染めはお手入れは、汚れたら拭くくらいで十分です。
リーズナブルなコードバン財布をおすすめしない人
以下にリーズナブルなコードバン財布をおすすめしない人をお伝えします。
コードバン財布に経年変化を求める人(リーズナブルでもアニリン染めなら経年変化します)
リーズナブルなコードバン財布のすべてが塗料染めではありません。
しかし、リーズナブルな価格にするためには、コストダウンの1つの方法として染色法を手間のかからない塗料染めにする場合が多いのです。
塗料染めの場合はコードバンの表面に何重かの塗料やウレタン樹脂を塗装しますので、味わいのある経年変化は起こりません。
塗料染めは経年変化を楽しみたい人には向きません
コードバン財布を持つこと自体に喜びを感じる人
リーズナブルなコードバン財布と言っても、この記事での対象のコードバン財布は2万円ほどしますので決してお安い買い物ではありません。
それに新喜皮革が鞣したコードバンなら品質にはまったく問題ありませんし、
両者を実際に二つ並べて比較検討しない限り明らかな差はわかりません。
その高価な革のダイヤモンドと呼ばれるコードバン財布を持つということ自体に価値観を感じる人には、経済的なリーズナブルなコードバンは向いています。
一番大切なことはコードバン財布を持つ人が何を求めるか
結局、一番大切なことはコードバン財布を持つ人が何を求めるかです。
コードバン財布の価格差はあらゆる品質やサービスの差であることはお分かりいただけたと思います。
しかし、冒頭にお伝えしたように、結局は
・何をコードバン財布に求めるのか
今の自分のライフスタイルにあったコードバン財布はどれか
この2つがコードバン財布を購入するときに、最も重要なことなのです。
まとめ
ここまでコードバン財布の価格差と品質の関係について詳しく解説しました。
価格帯が2万円、5万円、7万円(8年使用中のGANZO製長財布)のコードバン財布で、実際に比較検討し、製造メーカーに問い合わせや取材を行い、その違いを徹底的に検証しました。
高額コードバン財布は
- 伝統と実績、技術力と信頼が創り上げたブランド力
- 信頼のある鞣し会社のコードバンを使用
- 日本のコードバン専門染色会社による丁寧な手作業による染色
- 日本国内で厳しい社内の規定に沿った一流の職人による手作り
- 手間のかかるデザイン(特に内側)
- 手厚いアフターサービス
という特徴があり、
リーズナブルなコードバン財布は
- リーズナブルとはいえ、日本の鞣し会社で鞣したコードバン
- コードバン原皮のグレードはそれ相応の可能性がある
- 塗料染め(顔料染め)の場合が多い
- 塗料染めの場合、コードバン財布であっても水、キズに強い
- リーズナブルと言っても1万円〜2万円するものは財布としての機能はしっかりとある
- メーカーや価格によるが数千円の場合、縫製は外国の場合があり、しっかりと確認しないとコードバンでない場合もある
という特徴があります。
コードバン財布はどのグレードであっても高額です。
お安いものでも1万円前後しますので、お財布としては十分に高額です。ですので
ご自分がコードバン財布を購入する目的がなんなのか、
コードバン財布を持つことによって何を得たいのかを明確にしてからの購入をおすすめします
大袈裟かもしれませんが財布選びは、自分自身を表現することでもあります。
この記事があなたのコードバン財布選びにお役に立つことができれば幸いです。
GANZO公式サイトはこちら
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コメント
コメント一覧 (2件)
国産とホーウィンの比較をしたくて
シェルコードバンの財布に続き
限定カラーのたばこの名刺入れを買いました!
hinodeさんの影響受けまくりです笑
ガンディーさん、ありがとうございます。実は僕もGANZO大阪店でタバコ色の二つ折り財布をみた時は衝動買いしそうになりました。おっしゃるとおり、限定色ですのでもう手に入らないと思います。