一生モノのコードバンが欲しいけど、どのブランドが一番いいのか悩んでいませんか?
多種多様な革製品の中でもコードバン財布は特別な存在感を持っています。
しかし、選択を誤ると高いお金を出しても満足感が得られない可能性があります。
私はコードバン財布を10年間愛用しており10個以上のコードバン革小物を使ってきました。
ホーウィン社のシェルコードバンと新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染めの原皮も所有していて、
コードバンの素晴らしさに魅了されています。
そこで、初心者や買い替えの時に、コードバン財布がほしいとお考えの方々におすすめなのが、
日本を代表する3大のブランド、GANZO、ココマイスター、キプリスです。
コードバン財布は耐久性があり、他の革と比較して非常に型崩れしにくい皮革で、まさに人生の相棒とも言えます。
この記事では、この3大ブランドの魅力や違い、デメリットについてご紹介します。
この記事があなたの人生の相棒を選ぶときのお手伝いになれば嬉しく思います。
【コードバン財布】 おすすめの日本3大ブランド
結論から言うと、コードバン財布だけでなく牛革など皮小物はGANZO、ココマイスター、キプリス、
この3ブランドなら間違いはありません。
僕の考えではこの3ブランドは日本のトップ3です。
製品のクオリティが高いのは当然ですが、共通の理由として
- すべての商品が日本国内で熟練の職人が作り、各ブランドとも、Made in Japanに強いこだわりを持ち、かつ誇りを持っている
- 東京、大阪など大都市の一等地に直営店がある
- 接客(商品を提供するまでの行程のこと)、接遇(接客にもてなしの気持ちを加えつつ、それぞれのお客様に合わせたサービスを提供すること)、言葉遣いが丁寧で一流
- 直営店には知識や技術レベルが非常に高いスタッフが常駐している
- スタッフが展示品、在庫品を手にとって扱うときに必ず白の綿手袋をする
- アフターサービス(質問、相談、修理など)や特典が充実している
- 直営店舗の雰囲気は各社とも洗練された高級感がある
上記が僕が考える3社に共通したところです。
それでは1社ごとに
- ブランドコンセプト
- コードバンのシリーズ(ココマイスターだけは「コレクション」と呼びます)
- 歴史
- 特徴
- 改善してほしいところ
を述べていきますが、
各ブランドのコードバンのシリーズ分けは、財布の機能や形状よりも、コードバンの素材の種類や内装の素材に焦点を当てています。
ブランドが目標とする、目指すべき使命や目的を言葉にしたもの
この記事の各ブランドの記載の順番に優劣はありません。
ただ、
・初めて購入したコードバン財布がGANZO製品だったこと
・3ブランドの中で最も長い歴史を持つこと
などの理由でGANZOを1番目に設定しました。
【GANZO】長い歴史、高い品質と技術。王道を行く日本を代表するブランド
GANZOのブランドコンセプトとは?
GANZOのブランドコンセプトは
時を重ねるほどに、輝くもの。GANZOは、あなたの手によって “世界最高” の完成品となる。
GANZOの創業は1999年ですが、親会社のAJIOKA創業からだと100年以上の歴史があり、
その歴史と信頼に裏付けされた高い品質と技術で魅力的な製品を作り続けています。
まさに王道中の王道を行く老舗で日本を代表するブランド。
デザインは全般的にベーシックなものが多いので、コードバン財布を初めて購入される方にもおすすめです。
『GANZO』とはイタリア語のスラングで「いいね!」という意味。
(スラングとは公式な場所ではなく、一般的な日常で使ういろんな意味を持つ言葉)
GANZOの製品はブランドコンセプトの通り、時間と共に持ち主だけの一品となり完成品となっていきます。
実際に9年間使った僕のコードバンの長財布がそれを証明してくれています。
GANZOのコードバンには4つのシリーズがあります。
- コードバン
- コードバンオーセンティック
- コードバンチルダ
- シェルコードバン2
以下の記事に詳しくそれぞれのシリーズを説明していますのでご覧ください。
GANZOの歴史
1917年 合名会社味岡順太郎商店として東京都中央区日本橋で革小物製造卸販売業を創業。
1968年 屋号を株式会社味岡に改称
1999年 GANZOを日本製にこだわる高級ブランドとして立ち上げ、2000年代から主に大都市圏に店舗を展開。
親会社の株式会社味岡はGANZOだけでなく、
コンセプトが異なるいくつかのブランド「エアリスト」「エポイ」他も運営していますが、それらのブランドの中で、
徹底してMade in JapanにこだわったブランドがGANZOなのです。
別記事でGANZOについて詳しく書いていますので、参考にしていただければと思います。
GANZOについて詳しくはこちらの記事へ
GANZOの特徴
GANZOの最も優れたところは、
長い歴史と信頼の品質、王道をいくデザインで製品を作り続けていることです。
- 徹底した品質管理と高い技術
- 革の世界の王道をいくベーシックなデザイン
- 直営店には革職人が常駐
- 直営店に常駐する一般スタッフさんの知識量の多さ(店長さんはさらに高いレベルの知識をお持ちです)
- 高度な品質を維持するため、GANZO独自の規定による製造時の厳格なルールがある
- 革の選別もGANZO独自の目線で厳選されたものが製品化される
- 高度な技術を持つ職人がいる自社工房を持つ(ただし、すべて自社工房での製造ではなく、シリーズにより日本国内の職人工房に外注)
- 過度な高級感をあえて避けつつ、お客様がゆっくり選べる環境と高級ブランドとしての店舗デザインのバランスが絶妙
- 直営店でのケアサービスは無料(ただしGANZO製品に限る)
- 公式サイトまたは直営店で購入すると14日後以降の次回購入時に10%の値引きの特典がある
9.のポイントは公式サイトまたは直営店での購入の場合にのみ付与されます。百貨店、その他専門店等での購入時には、ポイントは付与しないのでご注意ください。
14日後以降に10%の値引きの特典があるのはGANZOだけ。
このサービスは大きいです。
GANZOに改善してほしいところ
GANZOに改善してほしいところは以下の通りです。
- 直営店が4店舗と少ない上、東京に3店舗も集中しているの残念。直営店のスタッフさんの知識が凄いだけに、東京と大阪以外の大都市圏にも直営店がほしいところ
- 百貨店でも販売しているが、キプリスほどの展開はなく、実物を確認して購入する機会が少ない
- メンズ系のみの商品展開で、女性のお客様の需要に応えにくい
直営店(大阪心斎橋店)のスタッフさんとお話させていただいてる時に感じたことは
- GANZO直営店には本当に革が好きな人が働いている
- 各直営店にオリジナルデザインの商品を立案、製作、販売する権限があるので、知識や情報のレベルが非常に高い
GANZOには王道中の王道を行く老舗の矜持(きょうじ)と信頼があり、そこで働く方々も、
全員が本当の革好きということがよくわかりました。
※矜持(きょうじ)とはプライド、自尊心、自負心などを意味する言葉ですが、自ら積極的にアピールすることなく、
深く静かに誇り持ち続ける意味合いがあります。
【ココマイスター】欧州と日本文化が融合し独自の世界観を確立したブランド
ココマイスターのブランドコンセプトとは?
ココマイスターは創業者である林佑磨さんの「日本人として、日本文化への敬意から日本製を造る」の基本理念から始まったブランドです(リクナビ2024より引用)
そして、
ココマイスターのブランドコンセプトは
文化を守る日本製ハイエンドブランド匠の技と高い芸術性で勝負する
です。
ココマイスターのホームページを熟読しましたが、
コレクション(ココマイスターではシリーズとは呼ばず、「コレクション」と呼びます)ごとにコンセプトと思われるキャッチフレーズがありましたので、
今回はココマイスターのホームページから僕の印象に残ったフレーズをココマイスターのブランドコンセプトにしました。
僕の解釈では高いレベルで品質を確保し、高い技術や日本独自の文化を守りながら、ストーリー、世界観を作り、
それらを最大限の武器にライバルメーカーさんと勝負するということ。
革小物は持ち主に夢や誇り、生きることへの力を与えるほどの力を持っています。
ココマイスターは、同社の製品を購入したお客様へ最高級の商品を提供するだけでなく、形では現せない夢や満足感、誇りも提供しているのです。
ココマイスターの真骨頂はこの部分なのです。
それゆえに、
ココマイスターの創業は2009年と歴史は浅いながら、
業界トップクラスの知名度と品質、技術、売り上げ、信頼を築くことができたのです。
ココマイスターのコードバンには4つのコレクションがあります。
- マイスターコードバン・ハイフライヤー(外装は新喜皮革が鞣したコードバンをレーデルオガワが染色、内装はイタリア製のマルティーニレザー)
- シェルコードバン(外装、内装とも米国ホーウィン社のシェルコードバンを使用)
- コードバンクラシック(外装新喜皮革でセミアニリン仕上げ、ロウ引き加工、内装はベルギー製アマンデルレザー)
- ヨコハマ(外装は新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染め、内装が欧州産ヌメ革)
ココマイスターが好きな初心者の方におすすめは
マイスターコードバンまたはヨコハマと名付けられたコレクションです。
マイスターコードバンとヨコハマの内装は異なった牛革ですが、
外装は新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染めとなっており、
ココマイスター製のコードバン財布の良さを比較的リーズナブルな価格で堪能できるからです。
大阪心斎橋にあるココマイスター心斎橋店で現物を見て、触れて、感じてきた感想は、素晴らしいの一言でした。
店内の展示品に触れることをスタッフさんに許可をもらいながら、
コードバンの質、コバ、縫製、内側の作りなどを徹底的に見て来ました。
残念ながら、店舗内での写真撮影は禁止なので写真はアップできませんが
財布のキモであるコバと縫製は特に徹底的に調べたところ、
やはりGANZO、キプリスに勝るとも劣らない仕上がりで、まったく甲乙つけ難い高いレベルでした。
以下にココマイスターの歴史をお伝えします。
ココマイスターの歴史
ココマイスターの歴史を時系列で箇条書きにまとめます
2009年 林佑磨氏によりココマイスター株式会社を設立。
2011年 積極的にブランド展開を開始
2018年 ココマイスターが扱う革を供給する英国老舗タンナー(トーマスウェア社)が英国女王賞を受賞。
そのトーマスウェア社の革を使って英国の伝統技術を守り、復活させた最高の製品として日本のココマイスターのオークバーク・ブリストルがケント公爵に渡された
ココマイスターの名前の由来は、マイスターとはドイツ語で「名人」「巨匠」「師匠」を指す言葉で、
専門的な技能や知識を持った人物のこと。
ココマイスターの「ココ」は「ここにマイスターたちが集まる」という意味で名付けられました。
ココマイスターは、創業当初は財布などの小物を中心に販売していました。
しかし、徐々にバッグやベルトなどのラインナップも拡充し、現在では国内外に多くのファンを持つブランドとなっています。
僕も10年以上前にココマイスターのマットーネ・アルヴィート(色はブランデー)というイタリアの牛革を使用したビジネスバッグを購入しましたが、非常に丈夫で頑丈な作りで、いまだに現役かつ修理をお願いしたこともないほどの耐久性があります。
ココマイスターの特徴
- 欧州の最高品質の革を最高の日本の職人技で作られた製品で職人は100人以上在籍
- ブランドイメージ、商品の世界観作りなどのマーケティングが他のメーカーよりも飛び抜けて優れている
- 商品のデザインは全般的にベーシックで、王道を行くものが多い
- オーナーの林佑磨さんは経営トップでありつつ、現役のデザイナーとして活躍中
- 販売は直営店と公式サイトがメインでそれ以外はココマイスター楽天市場店のみ。百貨店での販売は行なっていない
- クラブ会員制度(無料)が非常に充実していて、顧客を大切にする想いが伺え、永年修理のサービスなどが受けられる(有償の場合あり)
- お問い合わせフォームやLINE(2023.7.1よりココマイスター公式LINEを開設)などで商品の情報提供環境が徹底されている
ココマイスターに改善してほしいところ
- 百貨店での販売は行なっていないので、現物を確認できるのは全国6店舗の直営店のみ
- ほぼメンズ向けのみの商品展開は非常にもったいない
- ポイントで還元率が3%とGANZOの10%に比べて低い
- 実際に訪店して確認したGANZO、キプリス、ジ・ウォームスクラフツ マニュファクチャーなどの高級店は全て写真撮影OKだったのですがココマイスターだけは❌でした。ブランドイメージの関係もあり対応は難しいと察しますが再考をお願いしたい
直営店しか現物はないのですが、ココマイスターのオンラインでの販売体制は非常に優れています。
オンラインや、電話、メールでの問い合わせのハードルが低く、
コールセンターにはの取扱商品の80%が在庫されていて、現物を確認しながらオペレーターが情報提供してくれます。
取材させていただいた大阪心斎橋店は大変失礼ながら、少し狭く立地もあまり良くありませんでしたが、2024年4月13日に現在の場所に移転ました。
ただ、神戸旧居留地店は博物館のように広いので関西圏にお住まいの方は、
少し遠くても神戸旧居留地店へ
博物館に行くような感覚で訪れてみることをおすすめします。
【キプリス】美しさとMade in Japanの矜持を追求するブランド
キプリスのブランドコンセプトとは?
キプリスは全国の百貨店での販売を中心にした日本製にこだわるブランド。
日本古来の技術の継承にも熱心に取り組んでいます。
キプリスのブランドコンセプトは
一生愛せる、本質的価値のあるものづくり
です。
販売することだけでなく、生涯の相棒としての製品づくりを重視しています。
キプリスが展開する3つのコードバンシリーズ
- ホーウィン社のシェルコードバンを外装も内装にも使ったシリーズ
- 外装は新喜皮革✖️レーデルオガワのコードバンで、内装を他の革を使ったシリーズ
- 外装は新喜皮革のコードバンだが、顔料染め(塗料染め)を施したシリーズ(コードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズのみ)
⭐️コードバン&ベジタブルタンニンレザーのみ新喜皮革が染めた顔料染め(塗料染め)なのでエイジングは望めませんのでご注意ください。
1.ホーウィン社のシェルコードバンを日本のブランドで最も贅沢に使ったシリーズ
キプリスのホーウィンシェルコードバンのシリーズは、
他のシリーズがGANZOやココマイスターに比べてリーズナブルな価格設定が多い中で、
このシリーズだけが最も高額になっています。
例えば上の写真の長財布の場合、¥187,000と(2023.11月現在)最も高額になっています。
他のブランドのホーウィン社シェルコードバンの長財布の価格は
- GANZOシェルコードバン2の長財布 146,300円
- ココマイスター・スタンフォード(シェルコードバンの長財布) 110,000円
となっていて、キプリスだけが突出して高価格です。
理由は最後のQ&Aにも書きましたが、
- 内装のカード入れの内側にもシェルコードバンを使っているのでシェルコードバン自体の使用量が多い
- GANZO、ココマイスターは「ササマチ」で、キプリスだけが「通しマチ」という、材料が多く必要で、手間がかかるマチになっているから
- 外装、内装共にシェルコードバンを仕立てることができる高度な技術を持った職人が少ないから
です。
シェルコードバンだけを使った財布や革小物を仕立てることができるのは、
職人の中でも特に高い技術を持った職人だけです。
その数少ない特別な職人が、他ブランドより多くのシェルコードバンを用いて手間、時間をかけて仕立てるので、
キプリスのシェルコードバンは高額になってしまうのです。
しかしその分、品質はキプリスですから手抜かりはありませんし、その重厚感はダントツで、
シェルコードバンという最高の中の最高の逸品です。
2.新喜皮革✖️レーデルオガワのコードバンを使ったシリーズ
外装のコードバンが新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染め、内装を他の革を使用しているのが以下シリーズです。
- コードバン&シラサギレザー
- コードバン&ルーガショルダー
- コードバン&リンピッドカーフ
- オイルシェルコードバン ナチュラルコレクション(染色なしのレーデルオガワ製)
上の写真は僕が所有するコードバン&ルーガショルダーの「ワイン✖️ワイン」。
内装のルーガショルダー(フランス産牛革をベルギーのマシュア社が鞣した革)はコードバン専門の僕が惚れ込んでしまうほどの美しさです。
光量や角度で色がこれほど変わる革も珍しいです。
3.表のコードバンを新喜皮革が鞣し、顔料染めを施したシリーズ
このコードバン&ベジタブルタンニンレザーシリーズのみ、顔料染め(顔料染めは新喜皮革で行っています。キプリスに確認済み)ですので表面のコードバンはエイジングは楽しめません。
ランドセルと同じ風合い、質感になりますが、
- 最もリーズナブルな価格(顔料の染色に手間がかからないから)
- キズや水に強い
などのメリットがあります。
コードバン&ベジタブルタンニンレザーを見てみるキプリスの歴史
キプリスは株式会社モルフォが高級革製品ブランドとして1995年に立ち上げたブランドです。
ブランド名「キプリス」は、中南米の熱帯雨林に生息する美しい蝶類のモルフォの中でも最も美しいとされる「キプリス」という蝶から名付けられています。
キプリス歴史
- 1995年:株式会社モルフォによりキプリスブランドが立ち上げられる。
- 2003年~2019年:17年連続で百貨店バイヤーズ賞を連続で受賞。
百貨店バイヤーズ賞とは全国百貨店バイヤーから推薦の多かった優良ブランドに贈られる賞のことで、それだけ優れたブランド、商品であることの目安になり、キプリスは2003年~2019年度連続受賞、トータル18回受賞しています
キプリスの特徴
キプリスの基本理念として「一生愛せる本質的価値のあるものづくり」があります。
通常の革小物よりも工程数が多い上、ハンドメイド比率が70%を超え、中でも最高級のシリーズに至っては、90%以上がハンドメイドに頼らなければなりません。
革小物の一級革職人は日本に21人いますが、そのうち8人がキプリスに所属しています(2023.10月現在。その後は変更の可能性あり)
- キプリスは世界中から厳選された高品質の革を集めて高い技術で革製品を仕立てています。そのため、製品は耐久性があり、長く使い続けることができる
- 大阪大丸百貨店6階の直営店には日本皮革製品メンテナンス協会が認定するレザーケアマイスター2名在籍(2023年11月現在)しており、購入直後にビフォア・ケアサービスを実施
- キプリスの製品は日本の職人の手によって丁寧に作られていて、
伝統的な日本の技術とクラフトマンシップが反映されており、日本の職人ならではの細部にまでこだわったモノづくりが感じられる - キプリスの製品は機能性だけでなく、美しい独特のデザインも特徴でシンプルで上品なデザインが多い
- キプリス、GANZO、ココマイスターの3社の中で取扱商品数が最も多いので豊富な品揃えから選ぶことができる
- 公式サイトか直営店で購入するとキプリスのポイントが貯まり、非売品の高級グッズがもらえる
- 直営店ではレザーケアマイスターによるケアサービスを実施(ただしキプリス製品に限る)
下の写真はキプリスのポイントでいただいた革巻きのパイロット製のペンです。
動画のシャープペンシル付き革巻きボールペンはさすがのパイロット製。
ボールペンとシャープペンシルとの切り替えが非常にスムーズです。
ポイントによるサービス品ではありますが、このペンも手抜かりなしの一級品でした。
持った瞬間、
「お、これはいい!」と感じる逸品です(パイロット製ですから当然かもしれませんが)
驚きと感動のビフォアケアのサービス
キプリスの直営店では、購入直後にその場でビフォアケアサービスを実施してくれます。
そのようなサービスは初めてだったので非常に感動しました。
ビフォアケアサービスを実施してくれた女性のスタッフさんは
一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会のレザーケアマイスターの資格を持ち、素晴らしい手捌きでケアしてくれました。
許可を得て動画を撮影させて頂いたのでプロの手捌きをご覧ください。
(百貨店内の音声が入ってますのでご注意ください)
一般社団法人 日本皮革製品メンテナンス協会
キプリスの直営店には2名のレザーケアマイスターが在籍していますので、ケアに関して様々な相談に乗ってくれます。
キプリスに改善してほしい点
以下は大阪大丸のキプリス直営店で実際に購入し、商品を使ってみた僕の主観ですが、
キプリスに改善してほしいところをお伝えします。
- ホームページのデザインがGANZOやココマイスターに比べてイメージ作りや高級感が不足
- メンズ、レディースを別にするなど商品展開数が多すぎて商品選択を難しく、公式サイトもわかりずらい
- .直営店が大阪大丸の心斎橋店1店舗のみなのは残念
- 購入時のポイントで、次回購入時の値引き還元がない
- ホームページから質問や問い合わせは可能ですし、迅速に回答いただけるが、GANZOやココマイスターに比べるとメールしかなく、サイト上の問い合わせ場所がわかりずらい
キプリスはGANZOやココマイスターに品質で劣ることはありませんが、高級ブランドとしての世界観作り、マーケティングや商品への深掘りが不足しています。
コードバンの革小物を求めるお客様はあらゆるレベルが高い方々が多く、商品の品質が良いのは当たり前で
その商品が持つ『ストーリー』を求めている場合があるからです。
そのストーリーや世界観によって、購入者の満足度が上がります。
キプリスはGANZOやココマイスターに比べて、そのあたりの踏み込みが不足しているように感じます。
大阪大丸心斎橋店6階にあるキプリス唯一の直営店の店長さんやスタッフさんの知識、ケア技術、対応が非常に素晴らしく、親切に教えてくださっただけに残念に感じます。
大阪で一流の百貨店である大丸で直営店を構える高級ブランドですので、それに見合ったHPやマーケティングにしてほしいと感じています。
それと、キプリスは百貨店での展開がメインになっていますが、直営店のスタッフさんの知識量は、百貨店のスタッフさんよりも優れているのは間違いありませんので、
少なくとも大阪以外に東京、名古屋、福岡などの大都市圏に直営店があればと思います。
それとポイントが貯まると非常に素晴らしい非売品の景品がもらえますが、ポイント値引き還元がまったくないのも残念です。
キプリスは他ブランドよりもリーズナブルな価格設定になっていますし、販売経路が経費がかかる百貨店がメインなので、ポイントで商品代金を還元するのが難しいのかもしれません。
GANZO、ココマイ、キプリスを⭐️評価
では、日本の3大ブランドを細かく5つ星が満点の⭐️で評価しますと、
評価項目 | GANZO | ココマイスター | キプリス |
---|---|---|---|
総合評価 | |||
コスパ | |||
高級感 | |||
実店舗での購入のしやすさ | |||
スタッフの知識量 | |||
縫製技術 | |||
コバ処理 | |||
アフターケア(ネットでの質問しやすさなども含む) |
となります。
僕の主観が入ってますが、ご参考にしていただければと思います。
公式サイトが品切れでも直営店には在庫ありの場合がある
コードバン製品の場合、どのブランド、メーカーも公式サイトで品切れ中の表示をよく見かけることがあります。
しかし、公式サイトでは品切れになっていても、実店舗では在庫がある場合が何度もありましたので、店舗に直接問い合わせるなどすると解決することがありますのでご注意ください。
コードバンは需要が供給を完全に上回っており、コードバン原皮自体の輸入が難しくなってきている上、単価が高いコードバンを数多く在庫することはメーカーさんにとって難しい問題であることは十分に承知していますが、公式サイトで品切れ状態をよく見かけるのは残念です。
Q&A
ここからはQ&Aの形式で疑問にお答えしたいと思います。
※ココマイスターは、僕が実際に購入していないため、大阪心斎橋店に直接伺い手にとって徹底的に観察し、スタッフさんに何度も質問して感じたことを述べています。ただし、ココマイスターも近々実際に購入して徹底的に検証し、随時加筆修正します。
- 結局、この3つのブランドで選ぶのならどれが一番なんですか?
-
それぞれに1番の部分があり、ここまで高いレベルでは最終的に個人の好みという結論になります。
ちなみに僕の考えの場合、正統派、王道を重視するならGANZOかココマイスター、斬新なデザイン、リーズナブルさならキプリスだと思います。品質はどれもMade in Japanのクオリティなので間違いありません。 - この3大ブランドのコードバンまたはシェルコードバンの財布は、どのブランドも鞣しは日本の新喜皮革か米国のホーウィン社製なんですか?
-
はい。
コードバン原皮に関しては各ブランドで確認してきました。
この3大ブランドのアニリン染め(水染め)コードバンは新喜皮革製、シェルコードバンはホーウィン社製になります。
私の調べた範囲ではイタリアのロカド社など他メーカーのコードバンは使ってません。(各直営店で確認しましたが、もし間違いがあれば訂正させていただきます。) - キプリスは他のブランドに比べて少しリーズナブルなんですがなぜですか?
-
内装の見えない部分に牛革、豚革、レーヨンなどを使ってコスパダウンを図っているのと、製造販売から一貫してキプリスで行ってコスト削減などの企業努力によるものです。
キプリスの公式サイトに外装、内装共に使用している素材を詳細に明記してありますので、ご確認ください。 - リーズナブルな価格が強みであるキプリスですが、シェルコードバン長財布やラウンドファスナー長財布だけがGANZO、ココマイスターより数万円前後も高いのはなぜですか?
-
はい。
僕も以前から疑問に思っていましたので、大阪の直営店の店長さんに直接質問してきました。回答
①ほぼシェルコードバンだけのフルゾッキ(原則全て同じ材料で作ること)で他ブランドに比べてコードバンの使用量が多い
②他メーカーのコードバンの長財布はササマチ、またはV字マチと呼ばれるマチですが、キプリスは通しマチという仕立てに手間がかかり、より多くのシェルコードバンの原皮が必要だから上記の理由により他ブランドよりもキプリスのシェルコードバンは高額になります。
キプリスの直営店で実際に手に取ってみると財布の厚み、重厚感はキプリスのシェルコードバン長財布が3社の中で一番でした。
- 王道をいくデザイン、フォーマルにも使えるデザインの長財布のコードバンはどこがおすすめですか?
-
3社とも王道をいくブランドですが、あえて選ぶとGANZOだと思います(僕個人の感想)
歴史が最も長く、デザインもベーシックですが、洗練されていると感じるのが僕が考える理由です。
ただし、ココマイスターも欧州、英国基調のベーシックな素晴らしいデザインですし、キプリスも劣ることはなく、
結局は個人の好みだと思います。 - コードバンは公式サイトで品切れが多いですが、実店舗でも品切れが多いですか?
-
必ずしもそうではありません。
3つの直営店を合計10回以上訪問し、実際に購入しながらそれぞれのメーカーのスタッフさんに質問しましたが、公式サイトで品切れになっていても実店舗にはいくつも在庫がある場合がありました。
公式サイトでほしいものがない場合、実店舗に電話等で確認してみると在庫している場合があります。 - コスパが最もいいのはどのブランドですか?
-
コスパならキプリスが最も優れています。
キプリスは百貨店での販売をメインにしていますので、収益の幾らかを百貨店に支払うことになるのですが、
企業努力で価格的にはGANZOやココマイスターに比べて抑えられています。 - 各ブランドのコードバンの革質、品質は同じなのですか?
-
はい、3ブランドとも、水染め染(アニリン染め)コードバンは新喜皮革で、シェルコードバンもホーウィン社で鞣しているコードバンなので基本的には同じです。
コードバンの品質は鞣しで決まります。新喜皮革とホーウィン社のコードバンなら間違いはないでしょう。
ただし、・コードバンは個体差が大きいこと
・ホーウィン社のシェルコードバンは輸入された時点でしっかりと等級分けされている
・新喜皮革については明確な等級分けはない
(ごく稀(1%〜2%)に存在する、すべてコードバン層がつながったレアなコードバン原皮だけは別扱いです)僕が3大ブランドの各種コードバンを実際に見て、触れて、感じてみた経験からも優劣はまったくありませんが、
上記の通り、コードバン自体が天然のものなのでブランドでの違いよりも、製品一つ一つの個体差の方が大きいと感じてます。 - この記事では財布の機能についてほとんど記事がありませんがなぜですか?
-
はい。
僕の財布に対する認識が財布という実用品というよりも美術品という捉え方をしているためです。
コードバンや革、鞣し会社、フィニッシャー、製造会社など革に関わる全てに愛着と敬意を持っていますが、
財布の機能に関して実際にいくつもの会社の財布を実際に使ってきて機能で困った経験がないことも大きいです。
機能に関しては各メーカーさんも考え尽くしているので、
実用的に困るような機能性が劣る財布はMade in Japanならほぼないと考えています。 - 各ブランドの特徴は分かりましたが、初心者の場合、コードバン財布としては結局どれがおすすめですか?
-
初心者の場合、この3大ブランドの新喜皮革✖️レーデルオガワのアニリン染めのコードバンがおすすめです。
この最強コンビでかつアニリン染めが最もコードバンのエイジング、ツヤなどを楽しめるからです。
内装は牛革が多いのですが多くの種類があるので、それぞれのブランドの公式サイトでご確認いただければと思います。
まとめ
日本を代表する3大ブランド、GANZO、ココマイスター、キプリス。
この3つのブランドは日本を代表するメーカーで、高級、高品質な革製品を欧米のハイブランドよりも手が届きやすい価格で提供し続けています。
そして、この3大ブランドに共通しているのが、
- 日本製、日本の職人が丹精込めて仕立てているということへの誇り
- 顧客を大切にする徹底した姿勢
- 財布を持つということ以上の心の満足感を提供している
- できるだけ長く、できれば生涯使い続けてもらいたいという製品にこめた想い
革製品やコードバン製品が初めての方や、買い替えをお考えの方は、この3大ブランドなら安心して購入することができます。
そして、購入に関して一番のおすすめは直営店での購入です。
多くの現物を直接見ることができますし、
直営店のスタッフの知識、技術レベルが非常に高いので的確なアドバイスをもらえます。
僕はコードバン財布は実際にみて、触れて、感じてから購入することが最も大切だと思うからです。
ただし、諸事情で直営店に行けない場合は、様々なサービスや保証のある公式サイトからの購入が最も安心です。
この記事がコードバン初心者や買い替えをお考えの方の参考になれば幸いです。