あなたは革が大好きですか?
それなら、革の原皮がほしいと思ったことはありませんか?
レザークラフトをしなくても、革好きな人は美しく大きな迫力のある原皮の魅力に引きつけられることがあるかもしれません。
革の原皮は、財布や名刺入れなどの革小物にはない独特の魅力があることは間違いありません。
しかし、私が実際に原皮を2枚購入した経験をもとにお伝えしたいのは「原皮の購入はおすすめしない」ということです。
この記事では、革好きだけどレザークラフトをしない人には原皮の購入をおすすめしない5つの理由を深掘りしていきます。
コードバンの原皮を2枚購入した経験をもとに僕の思いを記事にしました
そして原皮の購入にはどんなデメリットがあるのか、そしてメリットは何か。
革の原皮に興味のある革好きの人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
革好きな人でも原皮の購入はおすすめしない5つの理由
僕の経験上レザークラフトを趣味でやる人以外、革好きな人でも原皮の購入はおすすめしない5つの理由をまとめました。
1つずつ深掘りしていきます。
- 見て、触れて楽しむこと以外の機能性があまりない
- 大き過ぎて日常的に、見て、触れることができない
- 鞣しと染色だけなので仕立て職人の技が楽しめない
- いっしょに時を過ごさないので愛着が持ちにくい
- 革小物のような良い香りが弱い
1. 見て、触れて楽しむこと以外の機能性が少ない
革の原皮は、そのままでは製品としての機能を果たしません。
大きくて美しく、迫力があるので初めのうちは所有することに喜びを感じるのですが、それ以外の機能性があまり無いために愛着が湧きにくいのです。
レザークラフトを楽しむ方であれば材料として有効活用できますが、革が好きだという理由だけで購入すると、人によっては後悔する可能性があります。
また、原皮の価格は高くで、とくにコードバンやシェルコードバンはさらに高額です。
原皮の中でもシェルコードバンは別格の価格です
革が大好きでも見て触れて楽しむだけであれば、職人が仕立てた完成品の方がコストパフォーマンスと満足度が高いと言えるでしょう。
僕自身は原皮の購入したことに後悔はまったくありません。
しかし、原皮の愛着や存在感は、財布や名刺入れなど完成品の美しさと実用性にはかないません。
人によっては機能性があまりない原皮の購入は後悔の念をもってしまう可能性があると考えています。
2. 大き過ぎて日常的に触れる機会が少ない
コードバンだけでなく一般的に革の原皮は大きく、日常の生活の中で直接触れる機会が少なくなってしまいます。
この大きさゆえのダイナミックな魅力があることは間違いありません。
しかし、職人さんが仕立てた財布や名刺入れ、キーケースなどの革小物に比べれば触れる機会が少なくなってしまいます。
僕の経験上、触れる機会がもっとも少ないのが原皮でした
人は日常的に触れる機会が少ないと、愛情や愛着は湧きにくいもの。
革の原皮は大きすぎるため、触れる機会が少なくなり初めはその迫力で喜びを感じますが、徐々に存在感が薄れてきます。
3. 鞣しと染色だけなので仕立て職人の技が楽しめない
GANZO公式サイトでキーケースを見てみる原皮は鞣しと染色だけで、仕立て職人の技が楽しむことができません。
ですので、インテリアとして使う以外そのままでは使用できません。
僕の考えでは革本来の魅力と味わいを引き出すには、仕立て職人の技が加えられることが重要だと思っています。
仕立て職人の手によって美しい縫製やコバ処理が施され、革は初めて一つ一つの製品が独自の魅力を持つようになるのです。
ただし、優れた鞣し無しで優れた革製品はできませんのも事実です
ですので、革製品の本当の魅力と価値を楽しむためには、仕立て職人の高度な技が不可欠というのが僕の考えです。
4. いっしょに時を過ごさないので愛着が持ちにくい
原皮はいっしょに時を過ごすことがないので、愛着が持ちにくいという特性があります。
革製品は使い込むことで特有の味わいが出てくるのが魅力のひとつです。
しかし原皮は日常的に使う機会が少ないため、革製品として持ち主の心になじむまでのプロセスが不足しているのが原因です。
革小物の場合、毎日持ち歩いて使用することで柔らかくなり、ツヤや質感も変化していきます。この過程こそが、持つ人との間に特別な結びつきを育むのです。
しかし、原皮はそのままでは持ち歩くことはできませんので、時間を共有するということが出来ないのです。
これが原皮に対して愛着が持ちにくい大きな理由です。
家族や友人と同じで、いっしょに過ごした時間の長さが愛着に影響を与えます
5. 革独特の良い香りが少ない
僕が購入した2枚の原皮には、革製品独特の良い香りがあまりありません。
2枚の原皮はそれぞれ別のところで購入しました
一般的に製品化されたホーウィン社シェルコードバンは、強い香りを放つことが知られています。
しかし、なぜか僕のホーウィン社シェルコードバンの原皮は、あの独特の良い香りがほとんどありません。
GANZOの長財布の方が10倍以上の香りがします。
長財布だけは観賞用にしてます。購入後1年が過ぎた今も、箱をあけるだけで良い香りが漂います
保存状態や入荷してからの期間が関係しているのかもしれませんが、あの独特の香りが少ないのは残念に思っています。
ただ、原皮の本来の存在意義は香りを楽しむものではなく、レザークラフトの材料になるためのものです。
鞣し終えた原皮は本来革製品になるものということが僕の考えです
革の香りは、その鞣し(なめし)方法や保存状態によって大きく異なります。
例えば、ホーウィン社のシェルコードバンは秘伝のオイルを蒸気で加熱されたドラム(大型の回転するタル)と人の手によって塗り込む工程の、合計2回も時間と手間をかけてコードバンに染み込ませる作業を行います。
その結果として非常に強い革独特の香りを持つことが多いです。
しかし、香りの強いシェルコードバンでも長く在庫されていたり、通気性のよい環境で長期間放置されたりすると、香りが失われることもあります。
僕は原皮の香りの少なさは、必ずしも保存状態や革自体の品質に問題があるわけではなく、様々な要因が絡んでいると考えています。
革小物専門のショップやメーカーが、劣悪な保存環境で商品を在庫することはありえません
僕が所有する2枚の原皮は香りは少ないものの、美しく、高品質であることにはなんら変わりありません。
香りが少ないとしても、その素材の持つ優れた質感や美しさは十分に楽しむことができます。
ただ、強い香りを期待する僕のようなマニアの場合は、実際にお店に足を運んで自分で確認してから購入することをおすすめします。
レザークラフトしなくても原皮を購入するメリットとは?
僕のようにたとえレザークラフトしなくても、革が好きな人の場合の原皮を購入することによるメリットをお伝えします。
原皮は高額で日常使いできないため、購入はおすすめしませんが
メリットも存在します
1. 革小物とは違う満足感
原皮はレザークラフトをしなくても、所有するだけで独特の満足感を感じることができます。
一般的に革小物を購入する時は、美しく完成された製品を購入する喜びがありますが、
原皮はその大きさから受ける素材そのものの質感や香りを楽しむことができ、本物の革が持つ
本来の魅力をじっくりと感じることができます。
ホーウィン社のシェルコードバンの原皮はピンホール、シワ、トラが存分に楽しめる
ホーウィン社のシェルコードバンの鞣しは、革好きの間ではよく「ワイルド」という表現を使われています。
僕個人はこのワイルドな仕上げ、簡単にいうと「一見すると荒い仕上げ」に強い魅力を感じます。
シェルコードバンの魅力は新喜皮革のコードバンとは異なり、同じコードバンとは思えません
ネット上で「ワイルド」と言われる理由のひとつに、あえて残しているとしか思えないピンホール、シワ、トラがあります。
新喜皮革が鞣したコードバンにはピンホールやシワ、トラがシェルコードバンほど見当たりません
以下にそれぞれの画像をご覧いただきながら説明していきたいと思います。
① ピンホール
画像の白い斑点がピンホールと呼ばれる毛穴です。
ホーウィン社シェルコードバンに多く見受けられますが、新喜皮革にはあまり見当たりません。
このピンホールは革小物の場合は、日常使いで徐々に目立ちにくなっていきます。
ただ、原皮は日常使いしませんのでずっとこのまま残り続けることになります。
ピンホールには小さな穴が空いています。革が呼吸していると言われるのは、このピンホールの存在が大きいです
② シワ
シワはお尻の部分にあるコードバン層にある脂肪が、馬が動くことでできます。
主に横に線を引いたような形のものをシワと呼びます。
③ トラ
トラはシワがより複雑化してマダラ模様になった部分のことを指します。
革小物の場合、ピンホールは徐々に目立ちにくくなってきますが
シワとトラはエイジングにより、さらに浮き出て見えるようになってきます。
日本のお客様はトラ、シワを避けるのでメーカーはできるだけこれらの部分がない製品を扱うようにしてます
僕はこのトラとシワが唯一無二の存在と捉えています。
ですので、先日購入したココマイスターのオイルコードバンには国産には珍しく美しいシワがあったので購入するに至りました。
2. 憧れのホーウィンスタンプが手に入る
ホーウィン社のシェルコードバンにはもれなくホーウィンスタンプが押印されています。
革によって綺麗押印されているものや、半分しか写っていないものなどバラツキがかなりあります。
僕が所有するシェルコードバンにはほぼ全体が綺麗に押印されています。
このホーウィンスタンプは、革好き、とくにコードバンが好きな人だと一度は手に入れたいと思う場合が多く、僕もその一人でした。
ホーウィンスタンプは革好きにとって一種のステータスシンボルで、シェルコードバンは100年以上にわたる技術と経験が詰まった革であり、このスタンプはその証しでもあるのです。
僕はシェルコードバンの原皮そのものよりも、このホーウィンスタンプが欲しくて購入に至りました
ホーウィンスタンプは革好きにとって特別な存在。
革好きでとくにコードバンに興味のある人ならご理解いただけると思います。
3. レザークラフトという新しい趣味に繋がる可能性がある
原皮の購入は人によってレザークラフトという新しい趣味に繋がる可能性があります。
レザークラフトは素材の選び方から技術の習得まで多岐にわたる楽しみがあり、創造力を発揮できる趣味。
鑑賞したり、使うだけではなく自らの手で一つ一つ作り上げる喜びがあります。
財布やバッグ、小物入れなど、日常使いのアイテムを作成することができ、実用性も兼ね備えた素晴らしい趣味で、
日本全国に多くの愛好家がいます。
手先が器用な人にとってレザークラフトはすばらしい趣味となりえます
新しいことに挑戦したい人にとって、レザークラフトは非常に魅力的で、自分が仕立てた作品を鑑賞したり、他の人にプレゼントすることもでき、その達成感と満足感は革好きとは違ったものです。
日本にはジャパンレザークラフト協会(JLCA)という団体があり、日本からレザークラフトの普及を発信しています。
興味のある人は一度覗いてみてください。
4. 自宅のインテリアや画像撮影するときの背景に使える
美しいコードバンの原皮は、自宅のインテリアや画像撮影するときの背景に使えます。
自宅のインテリアとして素敵なアクセントにもなるでしょう。
例えば、リビングルームのソファに置くクッションカバーや、壁に掛けるアートパネルとして使うことで、お部屋全体が洗練された雰囲気になります。
写真撮影時の背景としての活用
ブログを運営するものとして、コードバンの原皮は写真撮影時の背景として非常に好都合な素材です。
革小物の背景として、質感と色合いが美しく映えるため、被写体を一層引き立てるのです。
僕も最近はコードバンの原皮を背景に写真撮影する機会が増えてきました。
このようにブログの写真やSNS投稿の背景として使うことで、革小物の魅力を最大限に引き出すことができるのが原皮のメリットでもあります。
SNS投稿では視覚的なインパクトを与えることができ、革の世界を演出することができるのです。
このように、コードバンの原皮はインテリアや写真撮影時に多くのメリットをもたらすので、使い方次第でブログやSNSのグレードアップに貢献できるでしょう。
5. 本当の革好きだという印象を持ってもらえる
僕のようにブログを運営する者にとって、扱うジャンルに対する専門性や権威性、信頼性の獲得は絶対に必要なこと。
読者の方々に僕が真の革好きであると印象を持ってもらうためには、単に革小物を使うだけでなくその物語や歴史や背景、素材にも深い関心を持つことが必要となってきます。
僕はレザークラフトもできないのに原皮を購入するのは、本当の革マニアであることの証明とに思っています
レザークラフトもしないのに、コードバンの原皮まで購入するような熱意を持つ人はごく少数です。
革が好きな人は多く存在しますが、本当に深い知識や情熱を持つ人は限られています。僕のようにコードバンの原皮を購入するような人はマニアと呼ばれるカテゴリーに入ります。
このような人はコードバンの深い知識や豊富な経験を持っているとかもしれないと読者さんに思ってもらえることも、原皮を購入するメリットと考えています。
それでも原皮は革小物の材料に再利用されることが1番
鞣される前の原皮、つまり「皮」は通常、食肉産業の副産物として生まれそのまま廃棄されることが少なくありません。
しかし「皮」に鞣しという加工を加えることで「革」に生まれ変わるのです。
そして、新しく生まれ変わった革は革小物に再利用することが1番の有効利用なのです。
革で仕立てられた革小物は大切に使えば5年、10年と使い続けることが可能で十分に再利用可能な素材なのです。
鞣しを終えた原皮のままの革は、仕立て職人の手によって革小物になり、新たな命として長く有効利用することがもっとも良い再利用です。
僕は原皮を購入したことに後悔はまったくありません。でも原皮は製品になってこそ再び命を吹き込まれ、本当の魅力を発揮すると考えています。
原皮の購入について Q&A
まとめ
革好きにとって大きくて美しく、野生味のある原皮はとても魅力的に感じることがあるかもしれません。
ガチガチの革マニアである僕もコードバンが好き過ぎて、原皮を2枚購入しました。
後悔はまったくしてませんが、他の革好きの人にはどうかというとあまりおすすめはできません。
とくにコードバンの原皮は他の革に比べて非常に効果です。
ホーウィン社シェルコードバンなどは、程度の良いものなら5万円以上の価格です。
シェルコードバンの特1級またはS級グレードの原皮は5万円〜7万円以上の価格です
それだけのお金を払ってでも、原皮が楽しめるかどうは難しいと感じています。
5万円もあれば、Made in Japanで高品質なコードバンの革小物が購入できます。
革が大好きであってもレザークラフトをしない人で、購入を考えている人は慎重に検討することをおすすめします。
原皮の購入には、メリットも確かに存在します。
しかし、これらは主にレザークラフトを楽しむ人たちにとってのもので、革小物が好きな革マニアにとって原皮は少し荷が重いかもしれません。
レザークラフトは自分で革小物を作成し、その道具や技術を駆使して独自のアイテムを仕上げる喜びや達成感を味わうことができます。
レザークラフトは年齢に関係なくどなたでも挑戦できるすばらしい趣味です
革が大好きでたまらない、同じ趣味を持つ読者さんの中には、僕のように原皮に魅力を感じておられる人もいらっしゃることでしょう。
しかし、購入に関しては慎重にお考えになってから判断していただくようおねがいします。
この記事が革が大好きな人にとっての原皮購入の際の判断材料のひとつになれば嬉しく思います。